消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
難治性多発出血性胃潰瘍を呈した特発性好酸球増加症候群の1例
岸野 真衣子光永 篤小西 洋之中村 真一村田 洋子鈴木 茂林 直諒
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1999 年 55 巻 2 号 p. 41-43

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抄録
 症例は71歳,男性。1992年から血小板減少を主訴に,他院で経過観察されていた。1998年1月に心窩部痛の精査にて内視鏡検査施行され,多発性胃潰瘍を認めH2-ブロッカーの投与を開始。経過中,好酸球増多も指摘され,精査を目的として当院血液内科紹介入院。入院中,黒色便を認めたため当科にて内視鏡検査施行。多発性胃潰瘍からの出血を認め内視鏡的止血術を行いPPI投与したが,その後も同病変からの出血を繰り返した。本症例の便中に横川吸虫の虫卵を認め,当初これが好酸球増多の原因と考えたが,駆虫後も改善せず,精査の結果,特発性好酸球増加症候群(以下HES)と診断された。また,潰瘍辺縁からの生検組織にも好酸球浸潤を認めたため,HESに伴う潰瘍と考えステロイド治療を開始し,その後潰瘍は改善した。HESに伴う潰瘍の報告はまれであるが,今回われわれは内視鏡所見を中心に観察し得たので報告する。
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© 1999 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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