従来,大腸リンパ管腫は希有な疾患とされてきたが,最近では内視鏡検査の普及に伴って一般の医療現場でも発見される機会が増えてきた。自験例は40歳の女性で,注腸造影検査にて,横行結腸に隆起性病変を認めた。大腸内視鏡検査上,cushion sign陽性の粘膜下腫瘍を認め,内視鏡的にスネアを用いて完全切除が可能であった。切除腫瘤は20×18mm大で,病理組織学的に嚢胞性リンパ管腫と診断された。本症例を含めた本邦報告234例について検討したところ,発症年齢は1~83歳(平均 : 55.1±14.1歳)で比較的高齢者に発見される傾向があり,男女比は131 : 85と男性の発症が多い。病変部位は大腸のどこからも発生するが,横行結腸と上行結腸に比較的多い傾向がみられる。本症に悪性化の報告はないが,急激増大例や腸重積,イレウス,大量出血などの報告もあり,放置すべきではなく,内視鏡的治療のよい適応と考える。