1984 年 28 巻 2 号 p. 90-97
東北地方の亜高山地帯には火山灰を母材とする湿性腐植型ポドゾル土壌が広範囲に分布する(山谷, 1968 ; 山谷, 1973)。火山灰は,その年代,分布,鉱物化学的性質,堆積状態などが比較的容易に明らかにできるので,ポドゾル土壌の風化や生成の研究にとり好都合の材料である。しかし,火山灰由来のポドゾル土壌は多くの場合,累積性の土壌となっており,その土壌生成適程や層位などは断面観察のみでなく,室内分析の結果もふまえて決定する必要がある。筆者らは,八幡平頂上部付近で累積性の湿性腐植型ポドゾル土壌を採取し,ぱじめにその理化学性や鉱物組成を明らかにし,ついでその結果をふまえて当土壌の風化生成や層位の決定を検討した結果を報告する。