ペドロジスト
Online ISSN : 2189-7336
Print ISSN : 0031-4064
能登半島宝立山山頂付近に分布する細粒質土壌母材へのアジア大陸北部の先カンブリア界由来の風成塵の影響
奥田 俊夫藤田 哲史藤江 康太郎北川 靖夫齋藤 萬之助成瀬 敏郎豊田 新
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 51 巻 2 号 p. 104-110

詳細
抄録

能登半島宝立山山頂付近の第三紀デサイト質火砕岩上に生成している細粒質褐色森林土壌の母材への風成塵の影響を調べるために,微細石英中の粘土鉱物組成と酸素空格子量を反映するESR信号強度について検討した。その結果は以下のように要約される。この土壌中の微細石英の電子スピン共鳴(ESR)信号強度10以上の高い数値は,次のことを示唆していた。アジア大陸北部の先カンブリア界由来の風成塵がこの土壌の母材に強く影響を及ぼしており,この風成塵はアジア大陸北部の乾燥した時期の海洋同位体ステージ2(MIS2)の最終氷期最盛期にアジア大陸北部先カンブリア界から北西季節風によってもたらされたものであった。一方,現地性の第三紀岩もまたこの土壌中の母材上に少なからず影響を及ぼしていた。さらに,この土壌中には少量のA-Tnなどのテフラの混入の影響もまた示唆された。

著者関連情報
© 2007 日本ペドロジー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top