2008 年 52 巻 1 号 p. 35-41
富山市南部旧大沢野町猿倉の猿倉山(標高354m)北麓神,通川右岸の更新世台地上に堆積した細粒質土壌の母材へ風成塵が影響を及ぼしていることを明らかにする目的で粘土鉱物組成および微細石英の電子スピン共鳴(ESR)信号強度について検討した。その結果は以下のように要約される。これら土壌母材へ最終氷期最盛期の海洋同位体ステージ2(MIS2)2万4千年から1万1千年前にアジア大陸北部先カンブリア界から冬季北西季節風によって運ばれてきたと推定される風成塵が土壌母材に強い影響を及ぼしていると考えられた。また,基岩の現地性第三紀岩もまたこの土壌母材に少なからず影響を及ぼしていることが示唆された。さらに,この土壌には少量の姶良Tn(AT)などのテフラが混入していると考えられた。