北東北3県の代表的な水田土壌の粘土鉱物組成の特徴を明らかにするために,土壌環境基礎調査重要定点の166点の水田土壌試料を用いて,粘土鉱物組成による類型区分を行った。青森県では西部の津軽平野・岩木川流域でスメクタイト質,準スメクタイト質が優勢で,これまで未検討であった県東部においては,三本木原台地の黒ボク土壌は非晶質が優勢で,台地の間を流れる高瀬川等の沖積地にはスメクタイト質,準スメクタイト質土壌が多く認められた。岩手県では粘土鉱物組成の検討がほとんど行われていなかったが,北上川西岸の台地では混合型,スメクタイト質等が散在した。北上川沖積地では県北〜中部で混合型,県南部では準スメクタイト質が優勢であった。県北部の黒ボク土壌は非晶質が優勢であった。秋田県では米代川流域に準スメクタイト質およびクロライト質,八郎潟干拓地でスメクタイト質が認められた。横手盆地においては,混合型,スメクタイト質,クロライト質,中間種鉱物質といった多様なタイプが存在した。子吉川流域の沖積地では,スメクタイト質が認められた。既に報告されているように,粘土画分にスメクタイトを多く含む沖積低地の水田土壌の多くでは,その上流地質に第三系凝灰岩が存在していた。
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