日本歯周病学会会誌
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原著
2型糖尿病患者の歯周治療必要度指数 (CPITN)
大竹 登志子高橋 龍太郎大薮 靖彦南園 宗子葛山 司大石 慶二永田 俊彦
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キーワード: 歯周炎, 2型糖尿病, CPITN
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2005 年 47 巻 1 号 p. 28-35

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抄録

糖尿病患者は歯周病にかかりやすく, 血糖コントロールが不良な場合や罹患期間が長くなると歯周病の程度も悪化すると言われている。本研究では, 49名の2型糖尿病患者 (DM群) および30名の非糖尿病患者 (対照群) の歯周治療必要度 (CPITN) と喪失歯数を調べるとともに, 糖尿病患者をHbA1C 値によって4群に分け, 血糖コントロールの程度と歯周治療必要度との関連についても調べた。その結果, DM群ではすべての人が口腔清掃の改善を必要としていた (コード値1—4)。4mm以上の歯周ポケットを有する人 (コード値3, 4) は対照群で56%であるのに対しDM群では94%と歯周病罹患者が多かった。6mm以上の歯周ポケットを有する人, すなわち口腔清掃の改善やスケーリング・ルートプレーニングだけでなく複雑な歯周治療が必要な人 (コード値4) は, 対照群での23%に対しDM群では59%と高い数値を示した。HbA1C 値によってDM群をさらに4群に分けた場合, 4群いずれにおいてもコード値3と4の合計比率が非常に高く, HbA1C 値8.0以上の群ではコード値4の比率が60%であった。しかしながら, これら4群間での統計学的有意差は認められなかった。1人あたりの平均喪失歯数は, DM群で7.8歯, 対照群で1.7歯であり, 糖尿病患者では歯の喪失が著明であることが確認された。DM群を4群に分けた場合の喪失歯は, HbA1C 値5.8未満の群で6.7歯, HbA1C 値8.0以上の群で10.8歯であったが, 統計学的有意差は認められなかった。以上の結果から, 2型糖尿病患者のCPITNすなわち歯周治療必要度指数は非糖尿病患者より高く, 喪失歯数も糖尿病患者で多いことが明らかとなり, HbA1C 値と歯周炎の程度との関連はさらなる研究が必要であることが示唆された。

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© 2005 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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