日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
47 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
原著
  • 浜 巧一
    2005 年47 巻1 号 p. 11-27
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/06
    ジャーナル フリー
    歯周ポケットに糸状銅線入り歯肉圧排糸Stay-put® (roeko, ドイツ) を挿入して, 歯周ポケット底部をデジタルX線画面上に視覚的に明確にし, これがプロービング診査を補う簡便で新しい有効な診査法の一つの手段となるかを検討する目的で本研究を行った。Stay-put® が歯周ポケット底部に位置していることを確認するために, 歯科用デジタルX線画像処理装置Compuray® (ヨシダ, 東京) による距離測定と手用プロービング値[日本歯科大学新潟式プローブ]および機械式プロービング値[Probie III® (モリタ, 京都) ]との関係を次の実験により検討した。実験1 Compuray® による距離測定の信頼性 実験2 Compuray® による6点法歯周ポケット測定 (種々の歯周ポケットによる計測値の比較) 1) 健常者の歯肉溝測定値 2) 歯周ポケット深さ別による歯周ポケット測定値 3) 歯周疾患患者の歯種別による歯周ポケット測定値 4) 出血の有無におけるCompuray® による距離測定の比較。その結果以下の結論を得た。
    1 Compuray® による距離測定の信頼性が確認できた。
    2 Compuray® による距離測定値は, Probie III®, 日本歯科大学新潟式プローブのプロービング値と0.2mm以内の差で96% 以上の一致率を認めた。
    3 新たに開発した本法は, 歯周ポケット底部を連続した線として視覚的に明確にすることができた。
    以上より, 本法はプロービング診査を補う新しい有効な診査方法の一つの手段となることが示唆された。
  • 大竹 登志子, 高橋 龍太郎, 大薮 靖彦, 南園 宗子, 葛山 司, 大石 慶二, 永田 俊彦
    2005 年47 巻1 号 p. 28-35
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/06
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者は歯周病にかかりやすく, 血糖コントロールが不良な場合や罹患期間が長くなると歯周病の程度も悪化すると言われている。本研究では, 49名の2型糖尿病患者 (DM群) および30名の非糖尿病患者 (対照群) の歯周治療必要度 (CPITN) と喪失歯数を調べるとともに, 糖尿病患者をHbA1C 値によって4群に分け, 血糖コントロールの程度と歯周治療必要度との関連についても調べた。その結果, DM群ではすべての人が口腔清掃の改善を必要としていた (コード値1—4)。4mm以上の歯周ポケットを有する人 (コード値3, 4) は対照群で56%であるのに対しDM群では94%と歯周病罹患者が多かった。6mm以上の歯周ポケットを有する人, すなわち口腔清掃の改善やスケーリング・ルートプレーニングだけでなく複雑な歯周治療が必要な人 (コード値4) は, 対照群での23%に対しDM群では59%と高い数値を示した。HbA1C 値によってDM群をさらに4群に分けた場合, 4群いずれにおいてもコード値3と4の合計比率が非常に高く, HbA1C 値8.0以上の群ではコード値4の比率が60%であった。しかしながら, これら4群間での統計学的有意差は認められなかった。1人あたりの平均喪失歯数は, DM群で7.8歯, 対照群で1.7歯であり, 糖尿病患者では歯の喪失が著明であることが確認された。DM群を4群に分けた場合の喪失歯は, HbA1C 値5.8未満の群で6.7歯, HbA1C 値8.0以上の群で10.8歯であったが, 統計学的有意差は認められなかった。以上の結果から, 2型糖尿病患者のCPITNすなわち歯周治療必要度指数は非糖尿病患者より高く, 喪失歯数も糖尿病患者で多いことが明らかとなり, HbA1C 値と歯周炎の程度との関連はさらなる研究が必要であることが示唆された。
  • 大森 みさき, 宮崎 晶子, 佐藤 治美, 片野 志保, 田邉 智子, 将月 紀子, 今出 昌一, 佐野 晃
    2005 年47 巻1 号 p. 36-43
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は口臭治療における舌清掃の有効性を評価することである。被験者は舌苔を認める患者および本学職員と学生であった。最初に舌清掃指導して1カ月後に舌苔付着量と官能試験を行い, 両方に改善が見られることを確認した。その後, 舌苔付着を認める26人の被験者の官能試験と機械的測定により口臭の強さを評価した。また, 同時に口腔清掃状態, Probing Pocket Depth (PPD), Bleeding on Probing (BOP), 舌苔付着度を舌清掃前後において評価した。初回の診査の後, 被験者に舌ブラシ (ジャックス) を使用して1日1回は舌苔を除去するよう歯科衛生士または歯科医師が指導した。舌苔の除去は舌の表面に舌苔が見えなくなるまで舌ブラシでこするように指導した。口臭測定はポータブルサルファイドモニターとガスクロマトグラフィを使用し, 揮発性硫黄化合物 (VSC) 濃度の機械的測定と官能試験を行った。被験者には測定の2時間前から歯磨き, 飲食, 洗口, 喫煙を避けるよう指示した。舌苔付着程度は付着の厚さと範囲によって5段階に評価した。清掃後の診査は1週間から1カ月後に行った。舌清掃後の診査時には口臭と舌苔付着量は改善していたが, PPD, BOPやプラーク付着状態には影響がみられなかった。またVSC濃度と舌苔付着度との間には有意な相関が認められたが, BOPやプラーク付着状態との間には有意な関係はみられなかった。口臭の予防のために舌清掃を推奨していく必要性があると思われた。
feedback
Top