日本歯周病学会会誌
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象牙質表面処理剤の違いがBMP-2による硬組織形成と象牙質吸収に及ぼす影響
天雲 太一宮治 裕史菅谷 勉川浪 雅光
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2005 年 47 巻 4 号 p. 269-279

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抄録

本研究の目的は, 象牙質面にBMP-2処理する前の脱灰方法の違いが, 培養細胞のALP活性, および結合組織内での象牙質表面への硬組織形成と象牙質吸収に及ぼす影響を検討することである。
実験1では, 象牙質片をEDTA (pH7.0), 塩酸テトラサイクリン (pH2.0), クエン酸 (pH1.0) で3分間脱灰後, 0, 5, 10μg/mlのrhBMP-2に10分間浸漬して, 歯根膜細胞を播種, 培養し, 1, 3, 5日後にALP活性を測定した。実験2では, 象牙質片をEDTA, 塩酸テトラサイクリン, クエン酸, PBSに3分間浸漬後, 0, 100, 400μg/mlのrhBMP-2に10分間浸漬し, ラット口蓋結合組織に移植して2, 4週後に象牙質片上に形成された硬組織の形成率と象牙質の吸収率を計測した。
実験1の結果, BMP-2が10μg/mlの場合にEDTA群のALP活性が他の2群と比較して有意に高かった。実験2の結果, 硬組織形成率はBMP-2濃度が100μg/mlの場合にEDTA群が他の3群と比較して有意に高く, 象牙質吸収率はBMP-2が400μg/mlの場合にテトラサイクリン群が他の3群に比べて有意に高かった。
以上の結果から, 象牙質面にBMP-2を塗布する前の脱灰液は, 今回選択した中ではEDTAが最適であると考えられた。

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© 2005 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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