日本歯周病学会会誌
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原著
Motivation®を用いた口腔気による歯周病罹患状態に関する予測性の検討
苗代 明新井 貴子林 裕尚福田 晋平谷本 広志久保田 裕子小泉 淳一鴨井 久一
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2005 年 47 巻 4 号 p. 280-288

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抄録

口腔気と歯周病の病態とは, 以前より高い相関があるといわれている。本研究では, 複数の半導体ガスセンサを搭載した歯周病スクリーニング用ニオイ測定装置Motivation®を用いて口腔気を測定し, 同時に歯周病の罹患状態をPSR (Periodontal Screening and Recording) にて評価し, 口腔気から歯周病罹患状態に関する予測の可能性について検討を行った。
94名の被験者から3秒間口腔気を直接吸引した。また, 歯周病の罹患状態の指標としてPSRを測定した。採取した口腔気特徴量とPSRとの関連について, 63例を学習データとし学習を行い, PSR全歯平均値を出力とするニューラルネットワーク (ANN) を構築した。未学習31例について統計工学的な検討を行ったところ, ピアソン相関係数で0.97の予測性を示した。
PSRは, 短時間かつ容易に, 歯周病の罹患状態をスクリーニングできるシステムである。今回得られた結果から, 口腔気を測定して得た特徴量を用いたANNの推論値とPSRとの間に高い相関がみられたことにより, 口腔気は歯周病罹患状態の予測に有効であり, 短時間で, 非侵襲的に, 歯周病治療必要度の診断が可能となることが示唆された。

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© 2005 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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