日本歯周病学会会誌
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原著
鹿児島県の某高等学校における継続的歯周組織健診
—歯周組織の健康状態の把握, 口腔衛生指導による介入の効果, 歯周検査項目の検索—
長谷川 梢古市 保志志野 久美子四元 幸治吉元 剛彦児島 正明和泉 雄一
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2006 年 48 巻 1 号 p. 28-39

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抄録

鹿児島県の某高等学校の学校歯科健診時に, 歯周組織健診を3年間実施することにより, (i) 歯周組織健康状態の把握, (ii) 口腔衛生指導, および健診結果と受診勧告の配布効果の検討, (iii) 健診に適した検査項目の検索を行った。平成 (H) 14年度は156名, 平成 (H) 15年度は135名, 平成 (H) 16年度は118名を対象に歯周組織健診を行った。H15, H16年度は, 全ての生徒にブラッシング指導と健診結果の配布を, 歯周組織健康状態不良が疑われた生徒に歯科受診勧告を行った。結果, 同校の生徒は, プラークの付着部位が多く, 大部分の生徒が歯肉炎に罹患していること, 歯周組織の精密検査が必要と考えられる生徒が存在することが明らかになった。縦断分析結果から, プラークスコア, 歯肉炎の程度, および歯周ポケットの深さの2年時平均値が3年時では, それぞれ, 0.95が0.50へ, 0.67が0.50へ, 2.31 mmが2.14 mmへと有意に減少した。これにより, 2年時の健診後に行った口腔衛生指導, および健診結果と受診勧告の配布が有効であることが示された。さらに, Community Periodontal Index (CPI) 最大値と, その他の歯周組織診査項目との間に有意な正の相関 (相関係数0.264―0.636) が認められたことから, 時間的制約のある学校歯科健診におけるCPIの有用性が示唆された。

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© 2006 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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