2006 年 48 巻 1 号 p. 40-49
限局型侵襲性歯周炎は, 全身的には健康であり, プラークや歯石の付着がほとんど見られないにも関わらず, 第一大臼歯および切歯に急速な歯周組織破壊が生じる稀な疾患である。本報は, 限局型侵襲性歯周炎と診断された患者に対して, 種々の歯周組織再生療法を行った症例を報告する。患者は20歳の女性で, 臨床診査およびX線診査によって, 上下顎左右第一大臼歯, 上下顎切歯, および上顎右側第一小臼歯に高度のアタッチメントロスが認められた。multiplex polymerase chain reaction法により, 歯肉縁下細菌叢からPorphyromonas gingivalis, Actinobacillus actinomycetemcomitans, およびTannerella forsythensisが検出された。歯周外科治療として, 自家骨移植, 組織再生誘導 (GTR) 法, エナメルマトリックスデリバティブまたは多血小板血漿 (Platelet-Rich Plasma ; PRP) を併用した自家骨移植を行った。その結果, 術後の歯肉退縮を最小限に抑えた状態で2—4 mmの臨床的アタッチメントゲインが得られ, 歯周組織を再生することができた。術後2年間観察を行っているが経過は良好である。