日本歯周病学会会誌
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調査・報告
日本歯周病学会評議員に対する喫煙に関する質問票調査
大森 みさき雫石 聰埴岡 隆沼部 幸博青山 旬石井 正敏吉江 弘正新井 高
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キーワード: 喫煙, 質問票, 歯周病, 歯科医師
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2006 年 48 巻 1 号 p. 50-57

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抄録

日本歯周病学会会員の現在の喫煙状況および喫煙に関する考えを把握するために評議員を対象として質問調査を行なった。質問票を郵送し回答の上同封の封筒による返送を求め, その結果を分析した。
回答が返送されたのは231名中145名で返送率は63%であった。年齢は40—50代が多く74%を占めた。所属は大学教員68%, 開業医25%, 勤務医4%, その他3%であった。喫煙状況については現在喫煙者13%, 元喫煙者39%, 非喫煙者48%であった。ニコチンの依存性については90%が肯定的であった。多くの疾患に喫煙が関連していると認識されており, 喫煙と歯周病との関連については94%が肯定的な考えを示した。歯科医師は禁煙指導をすべきという意見に80%以上の賛成が得られたが, 一方で禁煙指導の知識は十分とは言えないとする回答が43%であった。歯周病専門医の資格要件を非喫煙者とすることに賛成が79%を占めた。臨床医の約半数が患者の喫煙状況についての把握をしていた。喫煙状況は初診時に確認していることが多かった。また, 80%が重症な歯周病患者に喫煙者が多いと感じており, 88%が喫煙者は歯周治療で治りにくいと感じていることが示された。
以上より, 回答が得られた集団では喫煙の歯周病への為害性を認識しており, 現在の喫煙率は比較的低いことが示された。また, 歯周病患者への禁煙指導の必要性を認識しつつも, 指導のための知識が不足している可能性が示唆された。

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© 2006 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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