日本歯周病学会会誌
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原著
糖尿病教育入院患者の歯周病罹患状態と糖尿病合併症との関係
坂野 雅洋稲垣 幸司真岡 淳之小倉 延重野口 俊英森田 一三中垣 晴男藤本 悦子足立 守安田口 明
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2006 年 48 巻 3 号 p. 165-173

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抄録

歯周病と糖尿病の関係を把握する一助として2型糖尿病の教育入院患者66名 (60.8±9.3歳) の歯周病罹患状態と糖尿病合併症の関係を検討した。すなわち,現在歯数,全歯の地域歯周疾患指数 (CPI) ,臼歯部の歯槽骨吸収率 (ABL) ,ABL20%以上 (20 ABL) ,50%以上の比率 (50 ABL) ,下顎骨の骨粗鬆症化および歯の健康づくり得点,糖尿病合併症である腎症,網膜症,神経障害および動脈硬化性疾患との関係を評価した。現在歯数は17.2±10.3歯,全歯中のCPIコード3,4の比率は77.6±25.3%,ABLは31.1±14.2%,20 ABLは90.1±18.3%で広汎型慢性歯周炎の病態を呈していた。
腎症第3期患者では,腎症第1,2期と比べ現在歯数,CPIコード4の比率,LOA (loss of attachment) コード2,3,4の比率,LOAコード3,4の比率,50 ABL (p<0.01) ,増殖網膜症患者では,正常や単純網膜症と比べ現在歯数 (p<0.05) ,20 ABL (p<0.01) ,動脈硬化性疾患罹患者では,もたない者より20 ABL (p<0.01) がそれぞれ悪化していた。以上より糖尿病教育入院患者は,広汎型慢性歯周炎に罹患し,合併症の網膜症,腎症および動脈硬化性疾患の病態の悪化につれて,歯周炎がよりいっそう進行していた。

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© 2006 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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