2008 年 50 巻 4 号 p. 261-268
本報では, 慢性歯周炎と診断された59歳男性に対し, フラップ手術を含む歯周治療により深いくさび状骨欠損が改善した症例について報告する。患者の主訴は下顎左側第二大臼歯の動揺であった。歯周精密検査及びエックス線検査の結果, 顕著なくさび状骨欠損と根分岐部病変の存在が確認された。特に両側下顎犬歯遠心には深いくさび状骨欠損を伴う10-14mmの歯周ポケットが存在した。下顎左側第二大臼歯の抜歯, プラークコントロール及び全顎的なスケーリング・ルートプレーニングなどの歯周基本治療終了後, くさび状骨欠損を伴う歯周ポケットや根分岐部病変の部位に対してフラップ手術を行った。その後, 欠損部位に対してブリッジを装着し, サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)に移行した。SPT開始後6か月経過時の歯周精密検査及びエックス線検査の結果, 歯周ポケットの著しい減少と深いくさび状骨欠損部への骨の添加が認められた。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)50(4) : 261-268, 2008