日本歯周病学会会誌
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原著
歯周基本治療における歯科医師と歯科衛生士の連携に関する実態調査
西村 実佐子佐々木 好幸木下 淳博
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2009 年 51 巻 3 号 p. 238-251

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抄録

歯科の専門家としての歯科衛生士が, さまざまな臨床の現場において具体的にどのような業務を担っているのかは把握されていない。本研究は, 歯周基本治療に関して歯科医師および歯科衛生士の連携の実態を知ることを通じて, 今後の歯科衛生士業務の発展に寄与することを目的とする。さらには, これからの歯科医療を担う学生教育の充実, チーム医療の発展を考えるうえでの基礎資料を得ることを期待する。
調査は, 日本歯周病学会専門医が勤務している一般開業歯科医院の院長を対象として, 質問紙調査法により行った。質問項目は「歯周病の診断と治療の指針」を参考に, 主として歯周基本治療の段階での歯科衛生士の介入について質問する内容とした。
合計202件の回答を得た結果, 院長経験年数と歯科衛生士が主として処置をおこなうユニット台数に有意な正の相関があった。また, 歯科衛生士が主として処置をおこなうユニット台数とは, 一日平均歯周炎病名患者数ならびに歯科衛生士が接する時間比率, 歯周基本治療の各段階など, 多数の項目と有意な正の相関が認められた。
本調査により, 近年の歯科衛生士像, 歯科衛生士の臨床能力の高さ, および歯科衛生士の具体的業務内容の決定に関連する因子等が明らかになった。これらの結果より, 歯科衛生士教育への提案, および歯科衛生士の職域拡大の可能性について考察した。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)51(3) : 238-251, 2009

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