日本歯周病学会会誌
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原著
エナメルマトリックスデリバティブ(EMD)を用いた
歯周組織再生療法後6か月の臨床的評価
成田 宗隆難波 智美辰巳 順一上 佳弘石井 麻紀子松田 敦至三上 晃一郎西村 将吾呂 宗彦林 丈一朗申 基喆
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2009 年 51 巻 4 号 p. 316-325

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抄録

本研究の目的は, エナメルマトリックスデリバティブ(EMD)による歯周組織再生療法の有効性を, 骨欠損形態と術前の重症度により分類し, 比較することにある。EMD療法を施術した患者33名の90部位を対象に調査した。対象歯周囲の骨欠損形態は, 垂直性骨欠損が60部位(1壁性群10部位および2壁性+3壁性群50部位), 水平性骨欠損(水平性群)が30部位であった。また, 術直前の歯周ポケットの深さ(PPD)から軽症(<6mm)群と重症(≧6mm)群に分類した。臨床評価は, 手術直前および術後6か月のPPD, 臨床的アタッチメント・レベル(CAL), 骨吸収率(BL)について測定し, 改善量と改善率を算出した。全被検部位のPPD改善量は3.1mm(改善率 ; 46.8%), CAL改善量は2.8mm(改善率 ; 37.1%), BL改善量は15.2%(改善率 ; 34.5%)で各項目共に有意な改善を示した。また, 骨欠損形態別の評価では, すべての群で有意な改善を認めたが群間の有意差は認められなかった。以上の結果から, EMDによる歯周組織再生療法の術後6か月における臨床評価は, 垂直性骨欠損, 水平性骨欠損共に有意に臨床的パラメータの改善を認め, それらは骨欠損形態による有意差はなかった。重症度による比較では, 1壁性, 2+3壁性骨欠損の重症群で臨床的パラメータの改善傾向を示したが, 水平性骨欠損では軽症群で改善傾向を示した。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)51(4) : 316-325,2009

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