日本歯周病学会会誌
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症例報告
歯の動揺を主訴とした慢性歯周炎患者に対する
非外科的アプローチの1症例
大河内 ひろみ竹内 あゆ美森 智恵美安藤 和枝山口 みどり長谷川 純代山田 和代高阪 利美向井 正視稲垣 幸司小倉 延重岡部 京平別所 優野口 俊英
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2009 年 51 巻 4 号 p. 326-333

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抄録

症例は, 上顎左側第2大臼歯の動揺を主訴に, 2003年4月に来院した53歳男性である。歯周炎の進行に伴う歯の自然脱落, 上顎前歯部や小臼歯部の病的移動などにより, 咬合崩壊が進行しつつある広汎型の重度慢性歯周炎と診断した。歯周病専門医と歯科衛生士による歯周基本治療により, 歯周炎の進行が抑えられ, 歯周外科療法を行うことなく, サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)に移行した。初診時, 現在歯数18歯で, プロービングデプス(PD)平均4.7mm, アタッチメントレベル(AL)平均5.7mm, PD4mm以上56部位(51.9%), PD7mm以上32部位(29.6%)およびプロービング時の歯肉出血(BOP)は67部位(62%)であった。現在(2009年2月), 現在歯数17歯で, PD平均2.9mm, AL平均4.4mm, PD4mm以上12部位(11.8%), PD7mm以上の部位はなく, BOPは20部位(19.6%)と改善され, 歯周外科療法を行うことなく6年間良好に経過している。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)51(4) : 326-333, 2009

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