抄録
新潟大学医歯学総合病院・歯の診療室に歯周基本治療あるいはメインテナンスのため受診した患者を対象に,洗口液の使用状況と使用感に関するアンケート調査を行った。 口腔ケア製品(補助清掃器具と洗口液)の使用状況を質問票により調査するとともに当日のプラークコントロールレコードを記録した。洗口液使用者には,使用理由,期待する性質および選定時に重要視する要素を調査した。 洗口液の使用感については主成分の異なる四種類の洗口液[コンクール F(CHX;ウェルテック社製),リステリンフレッシュミント(EO;J&J 社製),ピュオーラ洗口液クリーンミント(PU;花王社製),GUM デンタルリンスナイトケア(CP;サンスター社製)]の味および使用感を二重盲検法(EO は単盲検法)により調査した。 被験者は一日平均 2.8 回歯磨きをしており,87% (46名)が補助清掃器具を使用していた。洗口液もしくは液体歯磨の使用者は 38%(20 名)であり,洗口液使用者のプラークスコアは非使用者と比較して有意に低かった。 選定時に重要視する要素の順位付けには一致性があり,「優れた殺菌力」,「爽快感」,「味」が上位要素であった。 洗口液の「味」と「使用感」には正の相関関係があり,いずれも CHX>CP>PU>EO の順で評価が高かった。 洗口液の選定には歯科医師・歯科衛生士からの推奨や動機づけが最も影響を与えると思われた。洗口液に患者が求める性質として,う蝕・歯周病予防効果や殺菌効果への期待とともに,味や使用感も重要な要素であることが示唆された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(2):148-155,2013