日本歯周病学会会誌
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症例報告
IgA腎症を伴う限局型慢性歯周炎患者の一症例
伊藤 小百合
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キーワード: 慢性歯周炎, IgA 腎症, SPT
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2014 年 55 巻 4 号 p. 357-365

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抄録
IgA 腎症は,口腔内慢性感染病巣との関連性が報告されている慢性糸球体腎炎である。50 歳の女性で,IgA 腎症を伴う限局性慢性歯周炎患者に対して 4 年間歯周治療を行い,現在はサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)にて経過観察を行っている症例を報告する。患者の歯肉には発赤,腫脹,排膿が認められ,IgA 腎症の病態に影響している可能性が考えられた。このため,歯周組織の炎症コントロールを徹底することを治療の基本方針とした。また,組織破壊が重度で炎症のコントロールが困難であった 12 と 35 については抜歯となったが,IgA 腎症に対する影響を考慮し,歯周基本治療を主体とした侵襲性の低い治療計画を立案して実践した。感染予防のために,SRP の前に抗生物質を投与した。47 を 46 の位置に移植することによって,咀嚼機能を大きく改善することができた。IgA 腎症に対するステロイド剤と更年期障害に対する女性ホルモンの投与に伴って病態が悪化した時期があったが,定期的な SPT と厳密なプラークコントロールにより歯周炎は改善し,現在は良好な歯周組織の状態が維持できている。腎機能に関しても比較的良好で,1 年に 1 回の内科検診を受けている。歯周病の悪化が IgA 腎症の再発を誘導する可能性があるため,患者の健康状態や腎機能に注意しつつ定期的な SPT と厳密なプラークコントロールを継続していくことが重要である。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(4):357-365,2013
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© 2014 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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