日本歯周病学会会誌
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原著
エムドゲイン®ゲルを用いた歯周組織再生療法の臨床パラメーターと X線写真の比較検討
岡野 千春大橋 顕二郎鈴木 桃子小山 朱美高井 英樹小方 頼昌
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2014 年 56 巻 1 号 p. 32-38

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抄録

エナメルマトリックスタンパク質は,歯根膜中の未分化間葉系細胞の分化と増殖を促進し,歯周組織再生を誘導することが多数報告されている。日本大学松戸歯学部付属病院では,2008 年 4 月にエムドゲイン®ゲルを用いた「歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法」が先進医療として厚生労働省より認可された。 本研究では,エムドゲイン®ゲルを用いた歯周組織再生療法における臨床パラメーターの改善度と X 線写真での治療効果を比較検討した。本先進医療を実施し,術後 6 か月経過時に歯周病検査を行った 57 名の 109 部位について,プロービングポケット深さ(PPD),臨床的アタッチメントレベル(CAL),Bleeding on probing(BOP)および X 線写真上での骨欠損深さを計測した。術前の平均 PPD は 6.4±1.3 mm,平均 CAL は 7.8±1.9 mm,BOP は 74.3%,骨欠損深さは 2.6±2.3 mm であった。術後 6 か月経過時では,PPD は 3.4±0.8 mm,CAL は5.4±1.7 mm,BOP は 31.2%,骨欠損深さは 1.8±1.6 mm であり,有意な改善が認められた。CAL の獲得は109 部位中 93 部位で認められ,CAL 獲得量は 2.0±2.1 mm,術後 6 か月の骨欠損改善率は 20.5±49.1%であった。臨床的パラメーターの改善度およびX線写真での歯槽骨の再生量は,過去の報告と同程度であった。以上の結果から,エムドゲイン®ゲルの歯周組織再生療法への応用は,臨床的に有意な改善効果を示した。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(1):32-38,2014

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© 2014 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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