2020 年 62 巻 3 号 p. 136-146
歯科医療従事者間で日常使用される歯科専門用語は,患者にとって難解なものも多い。医療面接の際に,患者に理解されない専門用語を使用することは,不十分な医療コミュニケーションの原因となり,良好な歯科医師・患者関係を構築する足枷となる可能性がある。本研究では,我々の使用する歯科専門用語を患者がどの程度理解しているか調査し,2006年に実施した前回調査と比較した。九州歯科大学附属病院に来院した患者216名に自記アンケート調査を行い,アンケート回収後,全体の理解度,男女別,世代別理解度を検討した。また,前回調査した38語に関しては,今回の結果との比較を行った。理解度が高い用語は,炎症,歯垢,歯石,唾液,ブラッシング,エックス線,細菌,歯周病,歯間ブラシであったが,腫脹,インレー,齲蝕,頬側,根分岐部,テックなどの用語は理解度が低かった。前回調査と比較して,38語中31用語において,その理解度は上昇していた。さらに,用語間の相関についてクラスター分析を行った結果,歯周治療で用いられるブラッシング,歯周病,唾液,炎症,細菌,エックス線,歯垢,歯石,歯間ブラシ,義歯,感染症といった言葉は互いに相関が強いことが明らかになった。これらの結果より,この10年で歯科専門用語の理解度は著しく上昇したことが明らかとなった。今後も患者が歯科専門用語を正しく理解できるような啓発を継続していく必要性が示唆された。