2021 年 63 巻 1 号 p. 24-30
松本歯科大学病院では臨床研修必修化以前から卒直後臨床研修プログラムを実施しており,病院機構改革に伴って数種類の方法で研修と指導を行ってきた。その中で歯周治療指導の4種類のシステムを紹介し,システムの違いによる歯周治療指導の成果を報告する。
臨床研修必修化以前(SYSTEM 0)は,1口腔単位の臨床研修を推進しておらず,歯周組織検査,SRPを必修症例としていた。臨床研修必修化後の2001~2005年度に行った臨床研修における歯周治療指導方法(SYSTEM 1)は,1口腔単位の診療が開始された。2006~2010年度の歯周治療指導方法(SYSTEM 2)は,歯周病認定医・専門医の指導が開始された。2011年度以降の歯周治療指導方法(SYSTEM 3)は,歯周治療を保険治療の流れに沿って行った。またSYSTEM 3以降は臨床研修歯科医の歯周治療専用診療チェアを確保できた。
SYSTEM 2までは課された症例数を超す研修歯科医は多くなかったが,SYSTEM 3は歯周基本治療症例数や歯周外科手術を行う症例が増加し,歯周治療後のSPTへの移行や歯周治療を含む症例報告数が増加した。
研修歯科医が歯周治療を積極的に行う環境設定が出来たことで1口腔単位の治療の関心も高まり,治療内容の充実に繋がった。現在は,どの診療でも歯周治療を行うことができ,治療データ保存が習慣化することで歯周病認定医/専門医に移行する道筋が出来た。