2025 年 64 巻 3 号 p. 130-135
背景:扁平上皮腺上皮混合型乳頭腫(mixed squamous cell and glandular papilloma:MSCGP)は肺に発生するまれな良性腫瘍であり,検索するかぎりこれまでに 30 例ほどの報告があるが,細胞学的報告は少ない.今回われわれは細胞診で粘表皮癌を疑ったが,病理組織学的に MSCGP と診断された 1 例を経験したので報告する.
症例:60 歳代,男性.うっ血性心不全で他院受診時に胸部 X 線検査において左下葉に腫瘤が認められたため当院を受診し,経気管支的に細胞診および組織診が施行された.細胞診では粘表皮癌疑いと判定されたが,その後の組織診では MSCGP と診断された.
結論:呼吸器領域において,扁平上皮様細胞と粘液を有した細胞が混在して認められた場合には,粘表皮癌に加え MSCGP を念頭に鏡検することが肝要である.また,両者の鑑別には,MSCGP の特徴所見である乳頭状集塊や線毛円柱上皮細胞とともに角化細胞の有無が重要であると考えられた.