広汎型中等度から高度の慢性歯周炎の高齢患者に対して,生活背景や全身状態の変化に配慮して15年間歯周治療を継続している症例を報告する。
患者は63歳女性で,医療面接と初診時の口腔内診査とエックス線診査により上記のように診断し,患者に歯周治療の必要性を理解させて歯周基本治療を行った。
患者は,歯科治療に対して恐怖心が強かったので,そのことに特に配慮して徹底した感染源の除去を行った結果,PPDが3 mm以下の割合は初診時62%から96.8%,BOP陽性率は94.3%から5.7%,O'Learyのプラークコントロールレコードは100%から14.8%に改善し,症状の安定と咬合の安定が得られた。そのことで栄養状態が改善し,初診時にみられた喘息やアレルギー症状等の全身状態の改善につながり,歯周状態の改善が全身の健康に関与することを患者自身が実感した。
SPTに移行して12年間は患者の生活環境の変化に応じてサポートを行い,安定した歯周状態を維持していたが,その後アルツハイマー型認知症を発症し,歯周状態が一時悪化した。しかし,現在,多職種と連携し口腔清掃の自立支援を図っており,良好な歯周状態を維持できている。
本症例では,患者の生活環境や全身状態に配慮した患者教育と徹底した感染源の除去を行ったことが,歯周状態の改善につながった。また,SPTを行う上で生活環境や全身状態の変化を見逃さず,状況に配慮した対応を行ったことで患者の健康に貢献できたと考える。