日本歯周病学会会誌
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根分岐部病変の診査に関する研究
下顎第1大臼歯の解剖学的観察と分岐部探針の適合性の検討
前澤 和宏川浪 雅光小路口 研治土佐 茂之石川 純
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1984 年 26 巻 1 号 p. 110-123

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抄録

本研究の目的は下顎第1大臼歯の解剖学的形態の定量的観察と, その根分岐部に対する探針の適合性を検討することである。被検歯は歯周疾患のために抜去された100本の下顎第1大臼歯で, その形態および探針の適合性を直接ノギスで, あるいはトレース上で検索した。その結果, 歯冠頬舌幅径は平均10.7mm, 分岐部頬舌幅径は8.4mmであった。根頸部の高さは舌側に比べ頬側が約1mm低かった。エナメル突起は舌側より頬側に著明であった。各種曲率の彎曲探針を分岐部の頬側から舌側まで貫通させた場合, 多数例に対して良好な適合性を示す探針はなかった。そこで探針の挿入を分岐部頬舌断面で最根尖側部分までとしたところ, 頬側からは半径7mm, 舌側からは半径8mmの曲率の探針が最適であった。これらの探針が歯冠側基準点 (CRP-B or L)から, 9±1.1mm (頬側), 8.8±1.0mm (舌側) 挿入された時, その先端が根分岐部入口に達し, 13.5±0.9mm (頬側), 13.3±1.1mm (舌側) 挿入された時, その先端が根分岐部最根尖側部に達することがわかった。

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