骨基質主要成分である collagen の分解, 消化に関与する細胞の形態学的特徴を明らかにするため, 妊娠後期マウス胎仔 calvaria を用い, 電顕的検索を試みた。
類骨, または骨基質付近に, 細胞内に64nmの特徴的な横紋構造を有する collagen 細線維を取り込んだ小胞が存在する単核の骨芽細胞様細胞群が観察された。それらは, 類骨または骨に近接してみられる大きな核をもつ細胞形態が卵円形に近い, 細胞小器官のよく発達した細胞 (A type) と, 類骨層から少し離れて位置し, 周囲を多数の collagen 細線維で囲まれた, 細胞外形は前者よりやや紡錘形で細胞質突起の発達した細胞 (B type) の二種類である。collagen 細線維を含む小胞の出現はB type の細胞で圧倒的に多かった。骨基質に対する位置的関係から, A type の細胞は骨芽細胞, B type の細胞は前骨芽細胞と思われた。