1984 年 26 巻 4 号 p. 701-709
歯周病患者の縁上・縁下歯石における fibronectin の分布を免疫組織学的に検索したところ, 同物質は全症例において存在し, その分布様式は一般に糸状菌, 球菌などの菌体に一致して層板状や瀰漫性であった。また, fibronectin の存在部位は歯石の低石灰化とみなすべき部位と一致し, これは fibronectin が, Ca++やPO4---との反応性が強固で, octacalcium phasphote から hydroxyapatite への成長を著しく阻害するという実験的事実とよく符号する所見であった。