日本歯周病学会会誌
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家族性にみられた若年性歯周炎の病態解析
恵比須 繁之島内 英俊葛西 康宏脇田 由美子鮫島 義明神山 章福原 弘喜岡田 宏
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1986 年 28 巻 1 号 p. 328-339

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抄録

若年性歯周炎と診断された20歳と18歳の姉妹およびその48歳の母親 (重度歯周炎により残存歯が7歯) の病態を, 臨床的, 細菌学的ならびに免疫学的に検討した。歯肉縁上プラークや歯石の沈着は姉妹共に少なかったが, 歯槽骨の吸収パターンは姉が広汎型, 妹は限局型 (ただし切歯と第一大臼歯以外の歯も罹患していた) と, 姉妹間に多少違いがみられた。姉妹の病変部ポケット内プラークを歯周治療の前後に採取し, 暗視野顕微鏡で検索したところ, 両者の初診時にかなりの割合で認められたSpirochetesとMotile rodsが治療後には減少し, 逆にCoccoid cellsの比率が上昇する結果を得た。姉妹および母親の末梢血好中球と単球の遊走能を測定した結果, 妹は両方の細胞に遊走能の低下が認められた。一方, 姉と母親は共に好中球の遊走能には異常がなかったが, 単球の遊走能が低下していた。妹の好中球と単球および姉の単球は, 歯周治療後の検査でも依然として遊走能低下が認められた。姉妹および母親の末梢血Tリンパ球サブセットを検索した結果, 7日後の培養において姉妹のOKIal+Tリンパ球の比率が健常者群や母親よりも低かった。

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