日本歯周病学会会誌
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若年層にみられるH重度歯周炎の病理病態解析
島内 英俊恵比須 繁之小川 知彦岡田 宏
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1986 年 28 巻 1 号 p. 319-327

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抄録

18~26歳の重度歯周炎患者8名 (広汎型4例, 限局型4例) の末梢血好中球および単球の遊走能を検索した。その結果, 好中球遊走能は, 歯周組織に異常を認めない健常者に比べて, 広汎型4例中1例に有意の亢進, 限局型では4例中1例に有意の亢進, 2例に有意の低下が認められた。また, 単球遊走能は, 広汎型4例中1例に有意の亢進, 1例に有意の低下が認められたのに対し, 限局型では4例中2例に有意の低下が認められた。この単球遊走能の低下を示した限局型患者2名は, 好中球の遊走能もやはり低下していた。さらに, 好中球と単球の遊走能の低下が治療前に存在した2例について, 歯周治療終了後に再度検索を行った結果, やはり依然として好中球と単球の遊走能の両方に遊走能の低下が認められ, これらの患者における遊走能の低下は, 患者の生来保有している素質であることが示唆された。

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