日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
骨梁X線像の画像工学的研究
三辺 正人
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 29 巻 2 号 p. 438-453

詳細
抄録

ヒト大腿骨ブロックを酸処理により脱灰し, また, X線撮影時のX線入射角度を変化させた。そして, 経時的に規格X線撮影を行い, 細かい骨梁, 粗な骨梁および網目状の3種類の骨梁コントラストおよびパターンの変化を起こした。そして, これらの骨梁変化を物理的評価法であるRMS評価法と視覚的評価法である検出能評価法を用いて解析し, 骨梁変化の有無の認識能について比較した。また, Dental film (: Film) とDental Xeroradiography (: Xero.) の骨梁描出能の差異についても検討を行った。その結果は, 視覚評価では骨梁の種類に関係なく骨梁変化の認識が容易であり, 検出能はFilmがXero. に比べて高い傾向を示した。一方, RMS評価では, 細かい骨梁の変化の認識が困難であり, FilmとXero. では, その変動に相違が認められた。骨梁のパターン変化においては, 検出能は, コントラストの変化に比べて低く, Xero. はFilmに比べて, 細かい骨梁において検出能が高い傾向を示した。一方, RMS評価では, 網目状の骨梁変化の認識が困難であり, 粗な骨梁において, FilmとXero. の変動に相違が認められた。
次に犬の抜歯窩治癒過程における骨梁の新生状態を, 同一の評価法で解析した。評価は, 骨梁の粒状すなわち粗密度の変化の認識能について比較検討した。その結果, RMS評価法は, 骨梁の粗密の変化を, Film, Xero, 共に正確に再現した。これに対して, 検出能評価法では, Xero. がFilmに比べて骨梁の粗密の変化の認識が容易である事が解った。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top