日本歯周病学会会誌
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歯周病の抗生物質治療
2. ミノサイクリン局所投与の試み
磯島 修直良 有香栗本 桂二穴田 高小林 芳友栗原 英見木下 正彦野村 慶雄村山 洋二中島 光一長谷川 健二中村 正一
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1987 年 29 巻 2 号 p. 472-483

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抄録

抗生物質を歯周ポケット内に局所塗布する歯周病治療法の確立が望まれる。本報では, 塩酸ミノサイクリンMC) を含有する溶解性軟膏の至適配合濃度, 投与期間および投与頻度について検討することを目的とした。
(歯周炎患者22名に, MC 0.1% (w/w), 1.0% (w/w), 3.0% (w/w) 含有軟膏を投与し, 至適配合濃度を微生物学的に検討した。その結果, 投与7日後まで微生物密度と運動性桿状菌とスピロヘータの構成比率の有意な減少が持続した。MC 3.0% (w/w) を至適配合濃度と決定した。
この結果を踏え, 歯周炎患者12名にMC 3.0% (w/w) 含有軟膏またはプラセボ軟膏を2日毎に計6回連続投与し, 微生物学的に投与期間, 投与頻度を検討した。MC 3.0% (w/w) 含有軟膏は, 4週間後まで微生物密度を有意に減少させた。またスピロヘータ, 運動性微生物の構成比率は2週間後でのみ有意に減少した。連続投与は, 微生物密度の減少に有効であるものの, 微生物叢への変化は著明でない。このことから投与頻度, 投与期間を決定することはできなかった。臨床症状の変化は, 著明に表われなかった。

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