日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
辺縁性歯周炎と免疫機構
第3報歯周炎患者の免疫機構, 成人性歯周炎における末梢血 リンパ球サブセットの経時的解析
山中 武志土居 誠司田島 一範金久 純也竹内 宏澁谷 俊昭岩山 幸雄上田 雅俊箕西 敦久藤原 周
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 30 巻 4 号 p. 1040-1046

詳細
抄録

中等度から重度の成人性歯周炎患者8例の末梢血リンパ球subsetを, 初診時と約1年間の治療経過後の2回にわたって検索した。初診時におけるOKT-8陽性subset, すなわちsuppressor/cytotoxic T-cell陽性率は健常者と比較して著しい低下を示したのに対し, OKT-3, OKT-4, Leu-12陽性の各subsetには差異は認められなかった。OKT-8陽性subsetの低下に伴いOKT-4/OKT-8比は8例中5例で上昇が見られた。末梢血における本傾向は, 局所症状に改善が見られた約1年後においても変ることはなく, 成人性歯周炎患者末梢血において持続的なsuppressor/ cytotoxic T-cell subsetの低下が存在し, これがOKT-4/OKT-8比の異常上昇の要因となっていることが窺われた。また, この傾向は局所症状の変化とは何等相関性を示すことのないことから, 同subsetの低下が歯周炎の発症と病機進展の背後に素因として存在する可能性が示唆された。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top