1989 年 31 巻 1 号 p. 156-165
歯周疾患における炎症局所でのマクロファージ (Mφ) の動態を知るため, ラット腹腔常在Mφ による可溶性免疫複合体を用いた酵素免疫定量法で, Mφ の貪食活性について検討した結果, 菌構築成分であるlipopolysaccharide (LPS) およびmuramyldipeptide (MDP) により有意な貪食活性の増強を認め, またBacteroides gingivalis超音波破壊上清, Capnocytophaga sputigenaさらにFnsobaoterium nucleatumの上清がMφ の貪食活性に影響をおよぼすことがわかった。
上記の結果から, Mφ の貪食能はグラム陰性菌の細胞表層成分の一つである内毒素性リボ多糖体LPS, および菌体細胞壁ペプチドグリカンの要構造であるMDPにより影響に受けることが確認された。また菌体上清を用いた系の実験結果から菌種間によるMφ の食食能への影響の違いが示唆された。