日本歯周病学会会誌
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歯周疾患罹患根面の結合組織性付着に関する研究
線維芽細胞の初期付着について
藤井 健男岩井 宏之小鷲 悠典松尾 朗矢嶋 俊彦加藤 ヒロシ
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1989 年 31 巻 1 号 p. 176-183

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抄録

歯周治療による根面処置が, 線維芽細胞の処置根面へその結果。
1) 線維芽細胞の初期付着形態は, スケーリングでは短紡錘形のものが大半であるのに対し, ルートブレーニングでは非罹患根面と同様によく伸長していた。更にクエン酸処理を施すと, より薄く偏平に伸長する傾向が認められた。2) 初期付着細胞数は, スヶーリング群72±8個/mm2, スケーリング+クエン酸処理群74±13個/mm2に比較して, ルートプレーニング群110±18個/mm2, ルートプレーニング+クエン酸処理群107±15個/mm2, 非罹患根面群127±5個/mm2は有意に高い値を示した。3) スケーリング, ルートプレーニングにクエン酸処理を施した場合, 初期付着細胞数の有意な増加は認めなかった。従って, 処置根面への線維芽細胞の初期付着にはルートプレーニングが有効で, クエン酸処理は細胞の初期付着形態に付加的効果があることが示唆された。

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