抄録
ラット脱灰歯周組織中のコンドロイチン硫酸異性 体 (コンドロイチン4硫酸, 6硫酸, デルマタン硫酸) の局在性を明らかにするためモノクローナル抗 体 (2-B-6, 3-B-3) を用い免疫組織化学的に検索した。また今回の実験方法に適した脱灰法, 固定法についても検討をした。その結果, 固定法, 脱灰法については1%パラホルムァルデヒド2%グルタールァルデヒドで固定し, 5%EDTAで脱灰する組み合わせが至適であることが判明した。組織中の局在性は, 歯肉及び歯根膜にコンドロイチン4硫酸とデルマタン硫酸が組織中に広く認められ, コンドロイチン6硫酸は血管周囲に限局していた。特にデルマタン硫酸は組織中のコラーゲン線維に沿って強い染色性を示した。歯槽骨においてはコンドロイチン4硫酸とデルマタン硫酸がハーバース管, フオルクマン管, 骨小腔の内部に認められた。コンドロイチン6硫酸は骨中の血管の存在する周囲に認められた。セメント質ではコンドロイチン4硫酸及びデルマタン硫酸が, 有細胞セメント質のヤメント小窩やシャーピー線維の埋入している部位に認められた。