日本歯周病学会会誌
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露出セメント質の形態的変化に関する統計学的研究
高田 耕平西村 和晃山田 実山岡 昭
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1990 年 32 巻 4 号 p. 1039-1047

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抄録

著者らは前回, 露出セメント質の深層部は保存可能かどうか形態的な面から検索を加えるため, ヒト歯周疾患歯セメント質をSEM, TEMを用いて観察した。その結果, ポケット対応セメント質の深層部は何ら形態的変化がみられず, 露出セメント質の完全除去は必ずしも必要でないことを示した。今回は, 深層セメント質の形態的変化を, より客観的に分析するため, 50本のヒト歯周疾患歯を, アタッチメントロスが4mm未満の群 (A群), 4~7mmの群 (B群), 8mm以上の群 (C群) の3つの群に分け, 各群ごとに, セメント質割断面ならびに根表面をSEMにて観察, 割断面の形態的変化を数量化し, 統計処理を行った。その結果, A群試料の露出セメント質においては, その表層部, 深層部ともに, intactなセメント質と比べて統計学的に有意な形態的差異は認められなかった。B群ならびにC群の露出セメント質においては, 表層部に種々の形態的変化が見られたものの, 深層セメント質にはほとんど変化はみられず, 統計的にも有意の形態的差異はみられなかった。このことから, 露出セメント質深層部の健全性がより確実となった。

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