日本歯周病学会会誌
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露出セメント質の表面性状について (その3)
上田 雅俊稲田 芳樹寺西 義浩中垣 直毅山岡 昭上村 参生熨斗 秀光神原 正樹小西 浩二
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1991 年 33 巻 3 号 p. 703-709

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抄録

露出根面にスケーリング (S群) およびルートプレーニング (R群) をほどこしたものと両処置につづいてさらにクエン酸処理を加えたもの (S+C群とR+C群) の4群を設定し, 多角的に観察した結果, つぎのような結論を得た。すなわち, X線分析計によるCa, PおよびCa/P比は, 各数値ともに, S群が最大値, R+C群が最低値を示していた。また, 走査型電顕の, S群では顕著に認められたキュレットタイプスケーラーによる条痕がR群, さらにはR+C群になるにしたがって, その条痕が不明瞭になってきていた。さらに, X線光電子分光分析法による観察におけるCa, P, 0, F, およびNの相対濃度は, S+C群およびR+C群をS群およびR群とそれぞれ比較すると, CaおよびP濃度の減少が認められたが, Ca/P比に差がな く, 0/P比に大きな変化が認められた。また, セメント質最表層のCa, PおよびFの結合エネルギーは, 各実験群間でほとんど差が認められなかった。接触角の観察結果では, S群およびR群はintactcementumとほぼ同様の値を示していたが, クエン酸処理群では, 極度の親水性を示し, その詳細な測定は不可能であった。

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