日本歯周病学会会誌
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ラット歯周組織の老化に関する時間病理学的研究
小高 博沼部 真理子沼部 幸博鴨井 久一
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1992 年 34 巻 4 号 p. 717-740

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抄録

老化に伴う組織変化を本質的老化との区別を念頭におき捉えることと, コラーゲンの型別変化を形態学的に捉えることを目的に, 生後8週齢から96週齢のウィスター系ラットの上顎近遠心的歯周組織を, H-E染色ならびにpicrosirius-polarization methodにより検索した。その結果, 96週齢に至るまで, 歯の生理的遠心移動および萌出が継続して観察され, それに付随する歯周組織の改造現象が観察された。上皮は48週齢から72週齢の間に根面への深行増殖が観察され, 細胞性セメント質の添加増生形態より72週齢以降, 各歯冠を中心に近心傾斜していることが示唆された。本質的な老性変化がみられたのは, 細胞数の減少であり, 24週齢から48週齢で減少傾向を示した。コラーゲン線維の型別変化として, 老化に伴いI型コラーゲンを示唆する赤色偏光が増加した。骨頂部と分岐部直下には短いIII型コラーゲンを示唆する緑色偏光が多く観察され, 萌出に対する改造を示唆した。

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