日本歯周病学会会誌
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微小電極を用いたヒト歯根膜由来細胞の膜電位に関する研究
佐伯 訓子
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1992 年 34 巻 4 号 p. 759-771

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抄録

歯周病の発症及び進行おける各種細菌及び細菌由来物質の歯周組織構成細胞に対する作用機序や, サイトカインを介した細胞間相互作用について, 種々の報告がなされている。本研究では特に歯根膜由来線維芽細胞様細胞 (PDL) について, 微小電極を用いて膜電位測定を行い, 本細胞の変化を電気生理学的に解明することを試みた。7名の被験者より得た新鮮抜去歯より採取したPDL 8株を対象に, その静止膜電位と細菌由来毒素 (E. coli, LPS), またはIL-1β 刺激に伴う電位分布変化を検索した。その結果, PDLの静止膜電位は-15mV付近に分布し, 細胞のドナー, あるいは継代数によりその分布に差が生じないこと, LPS刺激により分布は過分極方向に移行すること, IL-1β 刺激は著明な過分極を示し, その変化は濃度依存性であることなどの知見を得た。本研究によりPDLの辺縁性歯周炎における変化の様相を電気生理学的側面から追求しその機序を解明しうる可能性が示唆された。

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