日本歯周病学会会誌
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口腔内露出歯根象牙質に対する歯周治療法の研究II. 実験的に口腔内に露出させた歯根象牙質に対する歯周治療法の検討
根岸 淳佃 宣和松本 敦至伊藤 豊岡 秀博田中 直人堤 洋比古川浪 雅光加藤 熈
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1992 年 34 巻 4 号 p. 779-788

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抄録

口腔内に露出した歯根象牙質に歯周組織を付着させる場合の象牙質に対する適切な治療法を知る目的で, 歯周病羅患歯より切り出した歯根象牙質を0, 1, 2, 4週間口腔内に露出させた後, (1) 無処置群と (2) キュレットタイプスケーラーでスケーリング・ルートプレーニングを表層一層のみ行う群と (3) 徹底的に行う群の3群に分け, 各処置を行った後ヒト歯肉線維芽細胞を根面上で培養し付着細胞を調べるとともに, 病理組織学的観察を行い比較検討した。その結果, 象牙質を口腔内へ1週間以上露出すると, (1) 無処置群は付着細胞がほとんどなく, 4週後に一部に細菌の侵入もみられた。 (2) 表 層一層処置群も付着細胞が少なく, 象牙質面にプラークが残存していた。 (3) 徹 底処置群は多くの細胞が付着・増殖し, 象牙質面に細菌はほとんど観察されなかった。以上より, 口腔内露出歯根象牙質に歯周組織を付着させるには, 露出が1週間以上になれば徹底したスケーリング・ルートプレーニングが必要であると思われた。

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