日本歯周病学会会誌
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Long Junctional Epitheliumに関する組織学的研究
上皮性付着と結合組織性付着境界部の超微形態について
小川 哲次吉野 美穂藤谷 百合加納 利文河口 浩之廣畠 英雄佐藤 裕紀白川 正治岡本 莫
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1992 年 34 巻 4 号 p. 836-845

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抄録

本研究では, long junctional epithelium (LJE) と結合組織性再付着との境界部の超微形態について検討した。
1歳ビーグル犬2頭の小臼歯部頬側にフラップ手術を行い, 歯槽骨とセメント質の削除により象牙質面を裸出させた。これらを2群に分け, M群では歯根膜および歯槽骨由来肉芽組織の侵入を抑制するために歯根周囲の骨表面をポリカーボネートメンブレンで覆い, N群では同被覆を行わなかった。術後4, 8週経過時に1%グルタルアルデヒドの灌流を行い, EDTA脱灰, 1%オスミウム酸固定後, 樹脂に包埋し, 透過型電顕にて観察した。
その結果, N群では, 8週時に最根尖側部のLJE下の象牙質面には内側基底板と連続性を有する層状構造が存在し, それらに近接して新生セメント質基質が形成されていた。一方, M群では, 4および8週のLJEは裸出象牙質面のほとんど全域と接し, LJEより根尖側の歯根面には結合組織性再付着の様相は観察されなかった。
本研究結果から, LJEの歯冠側移動と新生セメント質形成とが密接に関連している可能性が示された。

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