日本歯周病学会会誌
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露出セメント質の形態学的研究第一報歯周疾患患者の露出セメント質表層における過石灰化帯と臨床所見について
岩本 雅章野中 愼之荒川 義浩太田 紀雄赤羽 章司鈴木 和夫
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1992 年 34 巻 4 号 p. 871-882

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抄録

1970年にSelvigが人露出セメント質表層に過石灰過帯の存在を報告して以来, 多くの報告が成されている。しかしながら, まだ多くの疑問点がある。そこで我々は歯周炎罹患歯を, 臨床症状別に高度6本, 中等度6本, 軽度6本の計18本を症状別に分類し, 抜歯を行った後我々はアタッチメントロスと他の臨床項目別に過石灰過帯について研究を行った。石灰化帯の状態はコンタクトマイクロラジオグラフィーとエレクトロンプローブマイクロアナライザー (EPMA) にて, CaとP濃度測定の両方を露出セメント質の最表層面において行った。システムはEPMA又は走査電顕 (SEM-日本電子JCXA733型) と, それに装着したKevex-700EDS装置を使用した。その結果, アタッチメントロスとG.I. , G.B.I. 指数, 動揺度数の上昇に伴い過石灰過帯の出現の増加を認め, 高度歯周炎罹患歯の露出セメント質の周辺では小さな隆起と顆粒の出現を認めた。過石灰過帯のコンタクトマイクロラジオグラフィーとVon Kossaカルシュウム検出染色法の観察では2~3μm, 平均で10.4μmの幅を認めた。更にセメント質最表層面のシャーピー線維の間には大小, 球状の石灰化帯を認めた。

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