日本歯周病学会会誌
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二重盲検試験による塩化リゾチームの辺縁性歯周炎に対する臨床評価
石川 烈岡田 宏鴨井 久一宮下 元上野 和之原 耕二長谷川 明山田 了村井 正大池田 克己中村 治郎堀 俊雄太田 紀雄野口 俊英岩山 幸雄山岡 昭村山 洋二岡本 莫栗山 欣弥
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1992 年 34 巻 4 号 p. 883-900

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抄録

辺縁性歯周炎に対する塩化リゾチーム270mg/日×4週間 (L群) の臨床的有用性をプラセボ (P群) を対照とする二重盲検試験で検討した。
311例 (L群159例, P群152例) を対象に, プロービング時の出血, 歯肉の炎症, 歯の動揺, ポケットの深さ, ポケット内滲出液量, 滲出液中PGE2量, 縁下プラーク細菌について検討し, 全般的改善度, 概括安全度, 有用度の評価を行った。
全例に薬剤投与開始前にスケーリングを, 投与期間中ブラッシングを実施した。
出血, 炎症, 歯の動揺, ポケットの深さおよび滲出液中PGE2量の改善度についてはL, P両群間に差をみなかったが, ポケット内滲出液量はL群でのみ有意に減少するのを認めた。また, 縁下プラークの細菌数はL群で有意に減少, P群で有意に増加し, 両群の変化量に有意の差を認めるとともに全細菌のうち, 運動性桿菌の占める比率はL群でのみ有意に低下するのを認めた。
全般改善度 (4週後) および有用度については, L群がP群に優るのを認めた。
なお, 副作用はL群に13件, P群に19件発現したが, 両群の概括安全度には差をみなかった。
これらの成績から, スケーリングならびにブラッシングと併用するとき, 塩化リゾチームは辺縁性歯周炎の治療に有用な薬剤であると考えられる。

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