日本歯周病学会会誌
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糖尿病患者にみられる歯周炎とインスリン依存性および細小血管障害性合併症との関係
星 政和大西 定彦田中 恵子中野 幹子小杉 禎久宮澤 康鈴木 基之長谷川 紘司
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1995 年 37 巻 2 号 p. 337-345

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抄録

本研究の目的は, 糖尿病患者に発症した歯周炎の病態を明らかにすることである。
年齢および性別の一致した糖尿病患者28名および明らかに糖尿病ではない対照 (非糖尿病) 者33名の計61名を調査対象とした。糖尿病患者はさらにインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 群14名とインスリン依存型本論文の要旨は, 第37回日本歯周病学会秋季学術大会 (1994年10月7日), 15th International Diabetes Federation Congress (1994年11月7日) において発表した。糖尿病 (IDDM) 群14名, 糖尿病性合併症無し群13名と有り群15名の2つの様式にて4群に分類して比較検討した。歯周組織の状態はGingival Index (GI), Plaque Index (P1-I), Calculus Index (CI), Pocket Depth (PD), AttachmentLevel (AL), 欠損歯数 (MT) の各項目について診査した。糖尿病患者の全身状態は (糖化ヘモグロビン (HbA1) 値, 肥満度 (BMI値), 糖尿病の罹病期間について診査した。
調査の結果, 糖尿病患者は非糖尿病者に比べGI, PH, CI, AL, MTが有意に高い値を示した。しかし, NIDDM群とIDDM群, 糖尿病性合併症無し群と有り群の各群間では有意な差が認められなかつた。また, 糖尿病患者の歯周組織の状態はHbA1値, BMI値, および糖尿病の罹病期間との間に有意な相関関係は認められなかった。
以上のことから, 糖尿病患者は非糖尿病者に比べ歯周炎の症状が重篤であることが明らかになった。しかし, 糖尿病患者の全身状態, すなわち糖尿病の病型, 糖尿病性合併症の有無, 糖化ヘモグロビン (HbA1)値, 肥満度 (BMI値), 糖尿病の罹病期間と歯周炎の状態との関連性は認められなかった。

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