日本歯周病学会会誌
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尿路結石患者の歯石沈着指数に関する疫学的検索
永田 俊彦笠原 千佳木戸 淳一篠原 啓之西川 聖二石田 浩若野 洋一加藤 良成郡 健二郎
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キーワード: 歯石, 尿路結石症, 疫学調査
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1995 年 37 巻 3 号 p. 504-509

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抄録

尿路結石と歯石には, 成分や発現年齢においていくつかの共通点が認められる。本研究では, 尿路結石を有する人の歯石沈着程度を明らかにするために, 尿路結石患者40名および結石の既往のない対照被験者57名の口腔内診査を行い, 歯石沈着指数を調べることによって, 両群を比較検討した。さらに, 尿路結石患者の尿中成分と歯石沈着指数の相関についても検索した。-歯石沈着指数は, OHI指数に基づいた前歯および大臼歯6部位を検査するCI-S指数を採用した。結石群のCI-Sは1.10±0.09 (平均値±標準偏差値) であり, 対照群の0.37±0.05と比べ3.1倍と有意に高い値を示した。また, 下顎前歯舌側部に限定して指数を調べた場合でも, 結石群1.63±0.15, 対照群0.60±0.11と, 2.7倍の有意な高値を示した。この現象は男女の性別にかかわらず認められた。一・方, 尿中Ca量およびPi量とCI-Sとの相関を調べたところ, これらの問には何ら相関関係は認められなかった。以上のように, 尿路結石患者は, 結石をもたない人に比べて, 歯石沈着量が多いことが明らかとなり, 尿路結石患者の尿中Ca量およびPi量と歯石の沈着程度には関連がなかった。今回の調査結果は, 尿路結石および歯石形成機構には何らかめ密接な関連があることを裏付ける興味深い結果であると言うことができる。

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