抄録
われわれは, 歯肉の炎症状態を発赤および腫脹の点から自動的に画像評価するプログラムを新たに試作した。本研究では, デジタルカメラ, コンピュータおよび新しく独自に開発したプログラムよりなる, 歯肉病態診断システムの有用性を調べた。被験者は, 仙台市内の中・高一貫の某女子校の受診者のうち, 無作為抽出した中学一年生47名, 高校三年生77名の計124名で, 画像診断の被験部位は上顎前歯部唇側である。同一被験者について, CPI値およびPI値 (プラークインデックス) について評価を行った。すべての口腔内画像は, 試作プログラムによって自動分析・評価された。その結果, 被験者はCPIおよびPIの評価ではともに3つのグループに分類されたが, カラー評価値では, 45.41から100までの実数値で表された。カラー評価値と形態評価値の結果を合わせて被験者を二次元的に表すと, CPI値やPI値のみでの評価と比べ, 歯肉病態の多彩な評価が可能であった。コンピュータ診断で評価値の高かったものおよび低かったものの歯肉病態画像, CPI値およびPI値を検討したところ, 本システムの歯肉病態診断における有用性が示唆された。