日本歯周病学会会誌
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電動シャープナーはスケーラー管理に有効か?
深井 浩一加藤 まり富井 信之大森 みさき内田 美江鈴木 泉北神 裕美子長谷川 明
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2001 年 43 巻 3 号 p. 273-282

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抄録

スケーラーは歯周治療に不可欠で, 十分な管理のもとスケーリングやルートプレーニングに効率的であることが求められる。しかしスケーラーはその使用法についての情報は多いが管理についての情報は少ない。そこで筆者らはスケーラーの消耗頻度, 使用頻度, 研磨頻度や研磨時間の実態を調査して問題点と解決法を模索してきた。今回の研究の目的は電動シャープナー導入によるスケーラーの消耗頻度, 研磨時間, 刃部形態, 鋭利度を調査することにある。調査対象はコロンビア改良型スケーラーとグレーシー型スケーラーの合計11本とした。電動シャープナーはPerioStar® (Mikrona, Switzerland: 白水貿易, 大阪) を用いた。スケーラーは臨床で使用し, 洗浄, 滅菌, 刃部検査と研磨, 再滅菌のサイクルで消耗しきるまで用い, 使用回数と刃部形態の変化を調査した。鋭利度の評価には同じ11種類のスケーラーを3本ずつ用意して, これを未使用, 手研磨, 電動シャープナーの3群に分け, 盲検法でフラップ手術に供しビジュアルアナログスケール (VAS) で評価した。結果は91日後に全てのスケーラーが消耗し, スケーラー1本あたりの使用可能回数は59.4±15.4回, 再研磨率は78.4%, 研磨時間は56±26秒であった。鋭利度は統計学的に未使用のものに優り手研磨と同等であった。また刃部形態変化は少なかった。以上により, また手研磨による筆者らの過去の報告に比較して電動シャープナーの導入は消耗と研磨時間の改善に, また形態保持と鋭利度の点から歯周治療に有効と思われた。

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