日本歯周病学会会誌
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イヌにおけるルートプレーニングが実験的歯周炎歯の挺出に及ぼす影響
村岡 宏祐久保田 浩三田代 芳之横田 誠
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2002 年 44 巻 2 号 p. 148-158

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抄録

本研究は, 実験的歯周炎によって垂直挺出した歯に対し, ルートプレーニング (RP) が垂直的な歯の変位にどのような影響を及ぼすかを検討した。雄のビーグル成犬8頭の下顎左右第三前臼歯 (P3) に生活歯髄切断法を行った後, レジンキャップを装着した。下顎左右第二, 第四前臼歯に, 歯の垂直挺出量を測定するために計測用ステントを装着した。さらに, 頬舌側の圧の排徐するための装置を計測時以外に下顎左右P3に装着した。炎症群は, 4頭の下顎左側P3を用い, デンタルフロスの結紮を12週間継続した。RP群は, 4頭の下顎左側P3を用い, デンタルフロスの結紮を4週間継続した後, 4・5週目に麻酔下にてRPを行った。並行して, 週3回のTooth cleaningを行った。対照群 (炎症側, RP側の反対側の下顎右側P3) は, 週3回のTooth cleaningを12週間行った。歯の垂直挺出量の測定は, 精密印象採得によって1週間毎に行った。同時に臨床パラメータは, Probing Pocket Depth (PPD), Probing Attachment Level (PAL), 動揺度 (TM), 歯肉溝滲出液 (GCF) の測定も行った。
その結果,
1. 炎症群, RP群では, 実験期間中, 歯の垂直挺出が認められた。
2. RP群では, RP直後に炎症群と同程度の歯の垂直挺出が認められ, 約2週経過すると, 垂直挺出量は低下した。
3. RP群におけるPAL, TMは, RP直後一時的に値が増加を示したが, 約2週経過すると, PAL, TMとも炎症群に比較して有意に改善した。PPD, GCFは, RPを行うと数値が減少した。
以上より, 炎症の程度とRPは, 歯の挺出に影響することが示唆された。

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