日本歯周病学会会誌
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自家移植歯の術後骨性癒着防止に対する縫合糸固定法の有用性
小飼 英紀穂坂 康朗中川 種昭
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2003 年 45 巻 4 号 p. 364-371

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抄録

本研究の目的は, 自家移植歯の術後の骨性癒着防止に対する縫合糸による固定法の有用性を評価することである。被験歯は16歯で, 自家移植後6カ月と1年でペリオテスト®による動揺度測定とデンタルX線写真により自家移植歯の予後を評価した。術後6カ月で, ペリオテスト®の平均値は12.3±3.7であり, 術後1年では6.3±4.1であった。術後6カ月ではデンタルX線所見で1例も歯槽硬線が観察されなかったが, 術後1年では16歯中14歯に歯槽硬線が観察されたことから, 自家移植歯の動揺度の減少と歯槽硬線の出現には関連性のあることが示唆された。さらに術後1年で骨性癒着をきたした症例は1例もなかった。Baussらも, ワイヤー固定と異なり, 縫合糸固定では術後骨性癒着が認められなかったと報告している。本研究の結果も, 自家移植歯に対して移植後の縫合糸固定が骨性癒着防止に有用であることが示された。

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